OpenAIがChatGPT広告ピクセルで他サイト閲覧履歴をアカウント紐付け
30秒でわかる内容解説
OpenAIのChatGPTが広告収集ピクセル経由で、ユーザーの他サイトでの閲覧履歴をChatGPTアカウントと紐付けていることが技術検証で判明した。2026年9月20日に公開された検証記事によると、ユーザーはChatGPTを閲覧している間に識別子を付与され、その後のWeb訪問時にOpenAIへ送信される。ログインユーザーや匿名ユーザーに適用されるため、AIチャット製品におけるユーザー追跡の新たな基準となっている。技術検証者は936種類の広告主ピクセルをクロスチェックし、追跡メカニズムの存在を裏付けた。
__obi識別子とクロスサイト送受信の仕組み
ChatGPT上でユーザーがログインすると、クライアントが16バイトのランダム値を生成する。サーバーは60秒有効のJWTトークンを返し、ユーザーアカウントと識別子をbindする。
この識別子は.openai.comドメインに__obiという名前でCookieとして保存される。設定値にはSameSite=noneとSecureが指定され、有効期限は1年間である。
通常、ブラウザは別ドメインのCookieをリクエストに付与しない。この設定により他サイトでも送信可能になる。
広告主がChatGPTの広告枠に広告を掲載すると、自サイトにOpenAIのSDKコードを設置する。ユーザーがそのページを訪問すると、SDKの読み込みと同時に__obiがOpenAIへ送信される。
収集されるデータは多岐にわたる。SDKは広告主から渡される値の他、ページ内のフォームやテキストから情報をスクレイピングする。
| データソース | 送信形式 |
|---|---|
| メールアドレス | SHA-256ハッシュ |
| 電話番号 | SHA-256ハッシュ |
| 氏名 | SHA-256ハッシュ |
| 郵便番号 | 平文 |
| 国・地域 | 平文 |
| 閲覧URL | originとpathのみ |
観察されたトラフィックでは、スクレイピングされた識別情報685件に対し、広告主提供は255件にとどまった。メールアドレスや電話番号はSHA-256ハッシュ関数で暗号化される。
国や地域、郵便番号は平文で送信される。202ステータスコードでOpenAIのサーバーはイベントを受信したことを示す。
アカウント紐付けはサーバーサイドで行われるが、検証者は直接観測していない。iOSのSafariやChromeはWebKitエンジンを使用するため、インテリジェントトラッキング防止機能により同様のCookie送受信がブロックされる。
アナリティクス同意による付与と広告枠の拡大
OpenAIはCookieポリシーで__obiをアナリティクスCookieに分類している。アナリティクスとマーケティングの同意は別々に設定可能だ。
検証者がデコードした932個のトークン全てにanalytics_allowedが含まれていた。マーケティング同意を拒否しても、アナリティクスを許可すればCookieが付与される。
広告枠の設置率は約五分の一のセッションでトークン生成が確認された。モバイルWebクライアントは広告を表示しつつも同期しないケースもある。
大規模なトラフィックでは1,029ホスト名にわたる936種類の広告主ピクセルが観測された。自動マッチングは設定が判明した881ピクセル中638個で有効化されていた。
既存の広告技術と比較すると、MetaやGoogleが長年採用してきた手法と構造は同等である。ChatGPTの内部プラットフォームbzrの名称からも、OpenAIが広告事業を本格的に展開していることが窺える。
技術検証者は自身の端末で2つの独立した捕捉方法を用い、数ヶ月分の観測データと照合した。
有料製品での広告追跡に対する技術者の反応
技術コミュニティでは、FacebookやGoogleが過去数十年間行ってきたトラッキング手法の流用だと認識する声が多い。ただし、AIチャット製品で採用されたことによる不気味さが指摘されている。
The mechanism is standard adtech. What has no precedent is running it on an AI chat product.
機構自体は標準的な広告技術である。先例がないのは、AIチャット製品でこれを実装している点だ。
対策としては、FirefoxやSafari、DNSブロックを推奨する意見が多く見られる。ChromeやEdgeでは依然として対応可能だが、ブラウザのデフォルト設定では保護されない。
有料サブスクリプションで月額費用を払っているユーザーに対し、無料のFacebookのような広告トラッキングが行われることへの違和感も強い。
OpenAIは9月14日付の問い合わせに対し、__obiがアナリティクスCookieと分類される理由と、マーケティング拒否時の付与条件について明確な回答を返していない。
サポート担当者は検証結果を内部でレビューするとしただけである。スクリプト読み込み時の識別子漏洩は、問い合わせ送信後に観測された現象である。
サーバーサイド紐付けの観測と今後の展開
現在確定しているのは、ブラウザから送信された__obi付きイベントをOpenAIが202ステータスで受信した点である。設計上は必然的な処理と見なされている。
匿名ユーザー向けの識別子も存在し、デバイスタイプごとに安定して付与される。
ピクセルSDKのバージョン0.1.31では名前や地理情報が収集されていた。8月27日にスコープが狭められ、パスワードなどは除外される。
広告主側は__obiが自分のドメインでは読めないため、訪問者がChatGPTの識別子と解決されることを直接確認できない。
技術検証者は9月20日付で記事を更新し、OpenAIの公式返信を待つとしている。
用語の注釈
- SHA-256
- 入力データを固定長の文字列に変換するハッシュ関数で、メールアドレスなどの情報を安全に送信する際に利用される。(参考:SHA-256とは?仕組み・ハッシュ関数との違い・用途・saltと ...)