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Apple Silicon M2からM5のCPU性能向上要因とM6の概要

20秒でわかる内容解説

技術ブロガーのDaniel Lemireは、2022年発売のM2から2025年発売のM5までの3年間でGeekbench 6のシングルコア性能が約50%向上した背景を分析した。周波数の引き上げやトランジスタ数の増加、命令デコード幅の拡大が主要因となっている。MacやiPadユーザーなら知っておきたいApple Siliconのアーキテクチャ進化を解説する。

Geekbench 6スコアで見る3年間の着実な性能向上

2022年のM2から2025年のM5まで、ベースモデルのGeekbench 6スコアは着実に伸びている。シングルコアは2,401から3,642へと52%向上し、マルチコアは9,814から17,955へと83%の伸びを示した。この増加は大きな飛躍ではなく、年々段階的に進んでいる。

In effect, what I am demonstrating is that CPUs are not boring. They are improving fast.

CPUは退屈ではない。急速に進化している。

筆者は「CPUは退屈ではない。急速に進化している」と結論づけている。

In effect, what I am demonstrating is that CPUs are not boring. They are improving fast.

CPUは退屈ではない。急速に進化している。

ベースモデルの比較では、PコアとEコアのバランス変化がマルチコアスコアに大きく影響している。M2とM3は4P+4Eの構成だったが、M4以降は4P+6Eへ変更された。Eコアの追加はシングルコアには寄与しないが、並列処理が必要なワークロードではスコアを押し上げる役割を果たしている。

Geekbenchのスコアは実使用時の体感速度と直結する指標であり、この着実な積み上げが日常の処理負荷を軽減している。写真ではM2からM5までのパフォーマンスコアと効率コアの数がある。

Performance and efficiency core counts for Apple M2, M3, M4 and M5
M2からM5までのパフォーマンスコアと効率コアの数(出典:Hacker News

周波数・トランジスタ・帯域幅の多角的な設計改良

シングルコア性能向上の主因はPコアの周波数引き上げにある。M2の最大3.5GHzはM5では4.6GHzとなり、約30%の差が生じた。周波数を補正してもM5の方が速いのは、コア設計自体の変化による。

下の画像は各世代のPコアとEコアの構成を示している。M4以降ではEコアが4つから6つに増え、マルチコア性能を底上げした。トランジスタ数はM2の200億個からM4の280億個へ約40%増加した。M5の数は資料中で未確認だが、設計の拡張が続いている。

メモリ帯域幅もM2とM3の100 GB/sからM4で120 GB/s、M5では154 GB/sへ向上した。マルチコア負荷がかかるタスクでは帯域幅がボトルネックになりやすいため、この拡張は処理速度に直結する。メモリ規格はM2とM3でLPDDR5-6400を採用し、M4でLPDDR5X-7500へ変更、M5ではLPDDR5X-9600へ高速化している。

M2とM5の主要スペック比較
項目M2 (2022)M5 (2025)
Pコア最大周波数3.5 GHz4.6 GHz
Eコア数46
メモリ帯域幅100 GB/s154 GB/s
デコード幅8指令/サイクル10指令/サイクル

コア内部では命令デコード幅がM2の1命令サイクル8指令からM4以降は10指令へ拡大した。競合他社を上回る幅で、1サイクルあたりの処理能力を高めている。この「幅を広くする」設計により、トランジスタ数を効率的に活用している。

Memory bandwidth for Apple M2, M3, M4 and M5
M2からM5までのメモリ帯域幅の推移(出典:Hacker News

コミュニティが評価する設計哲学とSIMDの役割

Hacker Newsコミュニティでは、TSMCの最先端プロセスノードの利用と設計哲学が性能向上の鍵だと評価する声が多い。Appleはコア深度よりも横展開を重視しており、MMUのオーバーヘッド抑制にも成功していると見られる。

データ並列計算のSIMD(1つの命令で複数のデータを一括処理する技術)については、グラフィックスやAI処理では有効だが、ブラウザレンダリングや表計算などの汎用計算では影響が限定的だと指摘する意見もある。Appleは4つの128-bit実行ユニットを維持し、M4以降で512-bitのSME行列演算ユニットを追加した。

画像はAppleとAMDのSIMDユニット構成を比較している。AMDはZen 5で4つの512-bitユニットを採用したが、Appleは幅を広くする設計をAシリーズでも採用しており、汎用計算でのSIMD活用度合いは用途によって大きく変わる。A20 Proはデコード幅を9指令へ戻したが、Appleが最先端を走る中で成し遂げた性能跳躍は歴代最大級だという。

業界の追随者に対し、トップランナーが性能向上を続けるのは容易ではないため、その努力は適切に評価されるべきだと論じる。

Apple M-series four 128-bit NEON units versus AMD Zen 5 four 512-bit AVX-512 units
AppleシリーズとAMD Zen 5のSIMDユニット構成比較(出典:Hacker News

M6で導入されるスーパーコアと今後の数値公開

2026年9月に発売されたM6では、コア数が10から12へ増えた。そのうち2つは「スーパー」コアとして位置づけられ、処理能力の向上が図られている。メモリ帯域幅も若干のアップが期待される。筆者の予想では、Appleは引き続き確実に性能ブーストを提供するだろう。

下の画像はM6のプロセッサ構成を示しており、12コア体制でスーパーコアの追加によりマルチコア性能のさらなる向上が見込まれる。3年間でシングルコア性能が約50%向上したApple Siliconは、単調な進化ではなく多角的な設計改良によって速さを積み上げている。

トランジスタ数の詳細やM6の帯域幅数値は未確定だが、ベースモデルのラインアップは着実に高スペック化を進めている。次世代チップの正式な数値公開は、今後の製品発表会次第となる。写真では2026年9月発売のM6プロセッサ構成が示されている。

Apple M6 processor
2026年9月発売のM6プロセッサ構成(出典:Hacker News

用語の注釈

SIMD
一つの命令で複数のデータを一括処理する並列計算技術。(参考:SIMDとは - IT用語辞典 e-Words
LPDDR5X
モバイルデバイス向けに設計された低消費電力かつ高速なDRAM規格で、M4以降のApple Siliconに採用されている。(参考:LPDDR5X(低消費電力DDR5X)とは|仕組みや半導体製造で ...

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