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AnthropicがChromeなど主要ソフトの脆弱性5チェーンを公開

30秒でわかる内容解説

Anthropicは2026年10月28日、未公開の内部研究モデルClaudeを用いて、ChromeやSafari、Android、Windows、Linuxの主要ソフトウェアで5つの重要脆弱性攻撃チェーンを発見し、実証コードを作ったと発表した。ブラウザやOSは数十億人の利用に影響し得るため、防御担当者や開発者の点検対象になる。AnthropicはGoogle、Apple、Microsoftなどへ報告し、修正済みまたは対応済みだと説明した。

ChromeとSafariで複数脆弱性を組み合わせた攻撃

Chromeでは、V8エンジンのヒープメモリを壊す脆弱性と、V8のメモリ領域の隔離を破る脆弱性が組み合わされた。V8はChromeのJavaScriptエンジンで、隔離は危険なコードの到達範囲を狭める仕組みだ。

ASLRを破ってコード位置を特定し、ROPでレンダラプロセスを制御した。ASLRはメモリ配置のランダム化、ROPは既存の命令を再構成する技術だ。さらにCacheStorageの競合条件でサンドボックス境界外を読み、FedCMのuse-after-freeでサンドボックス外でコードを実行した。use-after-freeは解放済みメモリを使う欠陥で、FedCMはChromeの連携サインイン機能だ。

SafariではJavaScriptエンジンのJavaScriptCoreにあるuse-after-freeから、データを別領域に分離するGigacageの境界を越えた。プロセス間通信の脆弱性で履歴やCookieを読み、Same-Origin Policyを無効化した。SOPは別サイトのデータ読み取りを防ぐ規則で、破られると別サイトの情報が盗み見られる。

AndroidではUSB転送制限、認証チェック、6桁コード確認、ファイル内容転送禁止の4層を回避し、ロック画面のまま写真などを読み出した。WindowsではHTTP/3で使うQUICという通信方式のカーネル実装に境界外読み取りを見つけ、サーバーを遠隔クラッシュさせる仕組みを作った。Linuxでは複数の通信経路を使うmultipath TCPの競合条件から管理者権限で任意コマンドを実行した。

Anthropicが報告した脆弱性の対象と対応(CVEは脆弱性番号)
対象CVE・対応
Chrome62件のCVEがChrome 156で修正済み
SafariAppleは報告の同日に報告を確認し、修正を実装して利用者に提供
AndroidGoogleが対応済み
WindowsCVE-2026-33096でMicrosoftが修正
LinuxCVE-2026-98432が上流で修正済み

スキャン多様性とPull Request時検査で発見を続ける

Anthropicは、多くのスキャンエージェントを並列で動かし、各スキャナーが追加した脆弱性の数で評価し、コード全体をカバーするよう進捗を追跡した。戦略は関数ごとの網羅、顧客データを狙う目標、文書化された脅威モデルとの照合に分かれる。

Test-time compute scaling and scanner diversity substantially increase how many vulnerabilities you find.

推論時の計算量増大とスキャナーの多様性が、脆弱性の発見数を大幅に増やす。

確定した脆弱性には、似た脆弱性を探す自動的な分析を当て、標準化された検証とリスク評価の工程を通した。新しいスキャナーを試しても、品質の基準を下げずに実験できるとAnthropicは説明する。Anthropicは報告した脆弱性について、開発者に90日間の修正期間を設け、公開助言に含まれる情報を超える詳細はさらに45日間公開しない方針だ。

Anthropicは、既存の脆弱性を直すだけでは半分だけだと書く。もう半分は、新しい脆弱性がコードに入ってくる割合を減らすことだ。AnthropicはPull Requestの時点でスキャンする開発工程を勧め、開発向けにセキュリティ指針を組み込んだClaude Codeプラグインを公開した。Pull Requestは変更を統合前に審査する仕組みで、修正の混入を早い段階で止められる。

攻撃の日常化と複雑性低減の課題

Hacker Newsでは、大規模言語モデル(LLM)を駆動した攻撃はすでに日常化しているという指摘がある。ある投稿者は、その背景に検閲を外した中国のLLMがあると主張した。AnthropicのPoCは興味深いが、最先端モデル(フロンティアモデル)の進化はHacker Newsのような専門層にも十分に届かない速さだと書いた。

PoCはproof of concept(概念実証)の略で、脆弱性が実際に利用可能であることを示すためのコードを指す。

別の投稿者は、計算資源をほぼ無限に使えるエージェントがバグを見つけることは驚きに値しないとした。エージェントが修正や強化を行う際に新たなバグを混ぜずに済むかが問われると述べた。数十年の機能追加でソフトウェアが複雑になりすぎたため、人間は複雑さを減らすことを学ぶべきだとした。

実用面に注目する投稿もあり、Pull Request時のスキャンは理にかなっているが、トークン消費が見込める商売としてもうまみがあるという見方だ。トークンはモデルの計算量に連動する課金の単位を指す。

日本企業への攻撃と防御向けアクセス拡大

Hacker Newsでは、日本の企業や機関が最近サイバー攻撃の波にさらされているという指摘が出ている。Anthropicは、こうした状況で防御側に強力なモデルを提供し、攻撃者より先に修正する時間を得ることが必要だと述べる。自分のコードをスキャンすることが今まで以上に必要だと助言も残している。

Anthropicは、フロンティアモデルが複数の脆弱性を組み合わせて動く攻撃コードを作る能力を持つと述べた。従来は少数の専門チームの領域だったと説明する。Anthropicは、モデルが動く攻撃コードを誰でも実行して検証できると述べる。報告では、ブラウザやOSといった広範なソフトウェアで、その能力を示す事例が並ぶ。

防御向け検証プログラムCyber Verification Programは拡大版が公開された。Anthropicは、条件を満たすセキュリティ専門家向けに最新モデルへのアクセスと、ブロックを減らした分類器を提供する。分類器はモデルが危険な要求を止める仕組みで、防御向け検証では制限が緩められる。

Anthropicは2026年10月28日の投稿で、Cyber Verification ProgramにClaude Opus 5.5、Claude Sonnet 5.5、Claude Mythos 5.1が含まれると説明した。

用語の注釈

ROP
既存の命令を再構成してコードを書くセキュリティ技術だ。(参考:ROP(Return Oriented Programming)技術概説 #assembly ...)

出典