GMKtec Evo-X3ミニPCのCPUとメモリ性能を検証する
30秒でわかる内容解説
GMKtecが2026年9月に発表したミニPC「Evo-X3」は、AMD製SoCと128GBの高速メモリを搭載したAI向けワークステーションである。自作PCユーザーにとって、CPUとGPUでメモリを共有する構成は、ローカルAIモデルの導入ハードルを大きく下げる。60秒で円周率計算を完了するCPU性能と静音性は評価される一方、前世代比約2倍の価格と限られたポート数が課題として浮上している。自作PC組立の参考になる具体的な数値と仕様をまとめた。
円換算は1ドル=158.85円(2026年9月24日、欧州中央銀行の参考レート)による概算で、日本での販売価格とは異なる。
AMD Ryzen AI Max+ 395と128GBメモリが奏る処理能力
搭載されたAMD Ryzen AI Max+ 395は16コア32スレッドで最大5.1 GHzに達する。メモリはLPDDR5X-8000の128GBを標準搭載し、最大96GBをVRAM(GPUが使用するメモリ領域)に割り当て可能だ。Y-cruncherの円周率計算では約60秒を記録した。これは競合ミニPCの約半分であり、Cinebench 2026のマルチコアスコアは約7300点に達する。
For example, in Y-cruncher it completed its Pi compute in around 60 seconds. That’s twice as fast as its nearest competitor in our mini PC charts.
Y-cruncherでは約60秒で円周率計算を完了した。これはチャート上の最も近い競合の約2倍の速度である。
グラフィックス性能もRadeon 8060S iGPUが40 CUを搭載し、3DMark Solar Bayでは50,008点を獲得した。Star Wars Outlawsの1440p High設定で60〜90 FPSを維持する。Cyberpunk 2077の1080p Highでも平均96 FPSを記録する。ローカルLLMではQwen3.8 27Bモデルの生成速度が最大28 tok/sに達した。
筐体はCNC加工の金属製で容量は約2.7リットルだ。冷却性能は良好でアイドル時42度、負荷時75〜85度を記録した。騒音値はアイドルで30 dBA未満、負荷時でも33 dBA前後に抑えられている。85Wのバランスモードが標準だが最大140Wまで設定可能だ。
230WのACアダプターを同梱する。ストレージはPCIe 4.0 x4のM.2スロットを2基搭載し、2TBまたは4TBのNVMe SSDが選択できる。内部は8本のネジで固定されグイピックでパネルを開閉する方式だ。
無線通信にはWi-Fi 7とBluetooth 5.4を採用する。OSはWindows 11 Proを搭載しLinuxにも対応する。動画エンコードは約24 fpsの処理速度を記録した。
写真では前面の電源ボタンとLEDリングが確認できる。
新筐体とポート構成、そして価格変動の背景
前世代のEvo-X2とは異なり縦型のタワー型デザインを採用した。底面は4インチ幅で安定感があるが横置きには向かない。大型の電源アダプターも必要で機の下への収納が必須となる。前面にはUSB-A 3.2 Gen 1が2基あるが、USB4は背面の1基のみだ。
価格は128GB/2TB構成で3,799.99ドル(約60万4,000円)、4TB構成で3,999ドル(約63万5,000円)である。半年前の発売当初から価格が約2倍に上昇した。これはメモリとNANDチップを内蔵する電子機器全般が、現在進行中の部品不足の影響を受けたためだ。
メモリはソールドタイプで増設不可だが、ストレージと無線カード(M.2 2230)はユーザーが交換可能である。Windows 11 Proを搭載しWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応する。筐体の上部には緑色の電源ボタンと白色LEDリングが配置される。側面パネルは厚みのある金属で底面には広めのラバーフィートが付属する。
無線カードはMediaTek製でテスト期間中に接続に問題なかった。保証期間は1年だ。価格変動はRAMとストレージ搭載機器で顕著であり、今後の収束時期は未確定である。背面にはUSB-A 3.2 Gen 2、HDMI 2.1、OCuLink PCIe Gen 4 x4、RJ-45 2.5G LANが並ぶ。下の画像では背面のポート配置がわかる。
AIワークステーションとしての評価とネットの反応
ユーザーコミュニティからは128GBの統一メモリが好評だが、2.5G LANは通信速度の面で物足りないという指摘が出ている。大規模なローカルAIチャットボットやエージェントの推論に十分なメモリプールを提供する。ただしネットワーク速度については課題が残る。
高価なDGX SparkやMac Studioと並べて考えると、200Gbeや10Gbeを備える競合機と比較して通信速度が劣る。エージェントをローカルで実行しClaude CodeやCodexのサブスクリプションを置き換える用途では、ネットワークがボトルネックになる可能性がある。
ベンチマークデータを見るとGeekbench AIの半精度スコアは約37,100点を記録した。LM Studio BionicでのQwen3.8 27Bモデル推論では28 tok/sの生成速度を示した。動画エンコードでは約24 fpsの処理速度を記録しマルチコア性能の高さが生かされた。
総合的に見てAI推論特化型では強力だが本格的なクラスタ運用にはネットワーク帯域の拡張が求められる。自作PCユーザーは2.5G LANカードやOCuLink(GPUやSSDなどを高速に接続するための外部インターフェース)接続のGPUを追加して性能を引き出す戦略が有効だ。下の画像では内部の配線とスロット配置がわかる。
次世代Ryzen AI Max 495+搭載機と市場の動向
GMKtec Evo-X3の最上位競合は同社のEvo-X2やAMD純正のStrix HaloミニPCだ。さらに市場には次世代のRyzen AI Max 495+を搭載するモデルが控えている。IFA 2026でMinisforum、Lenovo、GMKtec、Chuwi、AceMagicが495+搭載のデザインを公開した。
発売を待つ価値があるかどうかは市場価格と仕様次第だ。メモリとストレージの価格変動が収束すれば現在のEvo-X3の価格競争力は向上する可能性がある。一方495+モデルの性能差とポート構成によってはEvo-X3のままでも十分実用的だ。
特に静音性と金属筐体の品質は評価されており即日買い換えの必要性は低い。現在のEvo-X3は128GB/2TB構成で3,799.99ドル(約60万4,000円)、4TB構成で3,999ドル(約63万5,000円)で販売されている。製品ページでは通常価格から割引されているがRAMとNANDチップを内蔵する機器の価格変動は激しい。
近隣競合となる次世代Ryzen AI Max 495+搭載モデルの市場価格や仕様次第では発売を待つ価値がある可能性が高い。設計思想が変更されない限り現在のEvo-X3は2026年後半まで十分競争力を持つとみられる。2TBモデルは通常価格4,100ドル(約65万1,000円)から、4TBモデルは4,349ドル(約69万1,000円)から割引かれている。各メーカーの価格設定と仕様公開は2026年10月以降に本格化する見込みだ。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen AI Max+ 395 |
| GPU | AMD Radeon 8060S iGPU |
| メモリ | 128GB LPDDR5X-8000 |
| ストレージ | M.2 2280 x2 |
| ポート | USB4/OCuLink/HDMI 2.1/2.5G LAN |
| 価格 | $3,799.99(約60万4,000円) |
用語の注釈
- OCuLink
- M.2スロット経由でGPUやSSDをPCIe 4.0 x4で高速接続する外部インターフェース。USB4やThunderboltに代わりミニPCで活用される。(参考:OCuLinkケーブルとは?選び方とeGPU接続の注意点を解説)
- VRAM
- GPUが画像処理や描画に使用する専用メモリ。データの一時的な格納先として、グラフィックス性能を左右する。(参考:VRAM(GPUメモリ)とは?不足時の症状や使用量の確認方法 ...)
出典
- GMKtec Evo-X3 review: Strix Halo in a brand new suit(Tom's Hardware)