Intel Arc A770とB70、OpenCL非同期計算バグ修正でスコア最大約3.9倍向上
30秒でわかる内容解説
2026年10月13日に公開されたIntel製グラフィックドライバー32.0.101.9150は、2023年から報告されていたOpenCLの非同期計算バグを修正した。これによりArc A770とArc PRO B70のMrHベンチマークスコアが最大約3.9倍向上し、自作PCユーザーの最適化選択肢が広がる。igor'sLABのコミュニティランキングも更新された。ゲームや一般アプリでの効果は別途検証が必要だ。既存の環境でソフトウェア最適化を行うだけで、計算処理が大幅に高速化する。
ドライバー更新で非同期計算スコアが最大4倍に跳ね上がった
2026年10月4日と13日に実施されたテスト環境はWindows 11 ProにASRock Z890 Taichi OCFマザーボード、48 GB DDR5-8600メモリを組み合わせた。ベンチマークソフトMrH OpenCL Benchmark 2.0eのExtremeとGodmodeモードで比較した。ワークグループサイズは256に固定し、他の設定値も同一に保った。
修正前の32.0.101.9034から新ドライバーへ変更すると、Arc A770とArc PRO B70のスコアが劇的に向上した。A770のExtremeモードスコアは1.557から4.492へ跳ね上がった。処理時間では222.062ミリ秒から76.950ミリ秒へ短縮された。
B70ではExtremeモードで872.2から3.382へとスコアが伸びた。GodmodeでもA770は376から1.127へ、B70は219.2から846へと大幅な数値改善が記録された。写真ではドライバー32.0.101.9150適用後のArc A770 Extremeモードスコアが示されている。
下の画像は修正後のArc A770 Extremeモードにおけるスコア推移を示している。MrHベンチマークは画像処理や数値計算、メモリアクセスなど6つの競技に分かれている。CPUとGPUの結果は別々に集計され、合計24カテゴリが存在する。パッと見の総スコアではアーキテクチャの差が隠れやすい。ドライバーの最適化状況が特定の競技に偏って影響するケースを把握しやすい仕組みだ。
| グラフィックカード | モード | スコア(旧→新) |
|---|---|---|
| Arc A770 | Extreme | 1.557→4.492 |
| Arc A770 | Godmode | 376→1.127 |
| Arc PRO B70 | Extreme | 872.2→3.382 |
| Arc PRO B70 | Godmode | 219.2→846 |
2023年報告のバグがコンパイラパスで修正された
本バグは2023年3月26日にMrHベンチマーク開発者によってGitHub Issue #632として報告された。内部IDはGSD-11594で管理されていた。Intel 4000番台以降のドライバーから、大きなワークロード時に非同期計算が正しく動作しない現象が確認された。
ワークロードサイズを小さくすればテストは完了するが、本質的な問題は解消していなかった。修正はコンパイラパスにおけるOpenCL処理の最適化によって実現した。4000番台ドライバーで発生していたバグは、Battlemage世代のGPUを含む複数のArcシリーズに影響を与えていた。
Intelは2026年8月に開発ブランチへ修正を取り込んだと発表していた。今回のWHQL認定版(MicrosoftがWindows互換性を保証する安定版ドライバー)で初めて実測値が確認可能になった。GitHub上の該当イシューは現在もオープン状態のままだが、非同期計算の動作確認は完了している。
Manchmal braucht es weder neue Hardware noch zusätzliche Recheneinheiten, um die Leistung einer Grafikkarte drastisch zu steigern.
場合によっては新しいハードウェアや追加の演算ユニット不要で、グラフィックカードの性能を劇的に向上させられる。
実際の処理速度はハードウェアの限界ではなく、ソフトウェアの制御効率に左右される。ドライバーの最適化が進むことで、既存の自作PC環境でも計算負荷の高いタスクがスムーズに処理される。
igor'sLABがコミュニティランキングを修正
igor'sLABは修正前の遅いスコアをコミュニティランキングから削除し、新しい測定値に更新した。従来の非同期計算結果はドライバーのバグによって大きく引き下げられていた。信頼性の低い数値がランキングに残ると、アーキテクチャの真の実力が誤って評価される恐れがあった。写真ではMrH OpenCLベンチマークのコミュニティランキング画面が映っている。
下の画像はMrH OpenCLベンチマークのコミュニティランキング画面である。LiveランキングではArc A770がExtremeモードで4.492ポイント、Godmodeで1.127ポイントを獲得した。Arc PRO B70はそれぞれ3.382ポイントと846ポイントに換算された。
開発者はAffectedなIntel Arcユーザーに対し、新ドライバーのインストールと再テストを推奨している。以前提出した非同期計算スコアを確認し、必要に応じて更新するよう呼び掛けている。
比較検証を正確に行うには、同じテスト条件とドライバーバージョンを統一する必要がある。自作PCコミュニティではドライバーのバージョン管理がベンチマークの信頼性を左右する重要な要素となっている。
ゲームや他アプリでの効果は未確認
今回の性能向上はMrHベンチマークの非同期計算に限定されている。ゲームタイトルやその他のOpenCLアプリケーションでの効果は未確認である。同等の処理負荷をかけた別テストを実施することで、一般用途での加速率が判明する。
修正されたコンパイラの内部技術的メカニズムはパッチ未公開のため詳細が不明である。開発元のIntelが公開する追加ドキュメントや技術レポートを待つ必要がある。自作PCユーザーはベンチマーク結果が特定のソフトウェアに依存している点を理解しておくべきだ。
10月13日以降、WHQL認定版ドライバー32.0.101.9150が提供されている。Intelの公式サイトからダウンロード可能だ。非同期計算を多用する自作PCユーザーは、最新のドライバー適用後にシステム状態を確認する予定である。
用語の注釈
- OpenCL
- GPUやCPU上で並列計算を可能にするプログラミングプラットフォーム。NVIDIAのCUDAに類似し、3Dグラフィックスや計算処理に利用される。(参考:OpenCL - Wikipedia)
- WHQL
- MicrosoftがドライバーのWindows互換性と安定性を保証する認定制度である。マーク付きドライバーは動作が確実になる。(参考:WHQLとは - IT用語辞典 e-Words)