· 自作PC

RTX 50 40 30 シリーズ向け VBIOS 編集ツールが公開され電力上限が引き上げられる

20秒でわかる内容解説

開発者 Panchovix が NVIDIA GeForce RTX 50 40 30 シリーズ向けの VBIOS 編集・ローダーツールを公開した。フラッシュチップへの書き込みなしでグラフィックボードの動作条件を変更できるため、自作 PC 組立時の電源や冷却パーツ選びの基準が変わる。最大 800W までの電力解放テストも完了しており、ドライバー 616.56 以降で動作する。

フラッシュ不要の VBIOS 編集とレジストリ経由のロード方式

開発者の Panchovix は Windows と Linux に対応する 3 つのツールを公開した。VBIOS(グラフィックボードに搭載されたビデオ用基本ソフトウェア)を編集し、ドライバー経由でロードする仕組みだ。フラッシュチップへの書き込みを行わないため、元の状態への復元が容易である。2023 年に nvflash ツールの BIOS 署名ロックが突破されたが、今回は書き込みを完全に省略している。

編集できる項目は電力上限や電圧の天井値、過電流保護値、ファンチャンネル、コアとメモリオフセットの範囲である。Windows 版ローダーは GPU のドライバーレジストリキーに編集画像を保存する。Linux 版はオープンカーネルモジュールをパッチし、GSP ファームウェアがカスタム画像で起動する。

RTX 5090 Founders Edition の ROM を編集した例
RTX 5090 Founders Edition の ROM を編集した例(出典:TechPowerUp)

下の画像では RTX 5090 Founders Edition の ROM を編集した例が示されている。ボード電力上限が 600W から 700W に上昇し、NVVDD と MSVDD の電圧天井値が 1,110mV から 1,150mV に変更されている。

Fedora 43 が実機でテストされた唯一のディストリビューションである。Windows 版ローダーはドライバー 616.56 以降が必要だ。8 月に mVolt+ の RTX 50 電力上限解除がドライバー更新で無効化されたため、今回のツールは同じレジストリ値を使用している。

電力上限の引き上げが自作 PC の電源選定に与える影響

電力上限の引き上げは自作 PC の電源選定に直接響く。RTX 4090 の ROM では電力上限が 666W から 750W に設定され、コアオフセット範囲が +2,000MHz に倍増した。nvidia-smi の確認では電力制限が 550W から 671W に変動している。開発者の独自テストでは RTX 5090 が 800W に到達した。

各 GPU モデルの VBIOS 編集による電力上限変更
モデル編集後電力上限
RTX 5090700W (テスト最大 800W)
RTX 4090750W
RTX 5080500W
RTX 5060 Ti300W

電力と電圧を引き上げると実機に負荷がかかる。元の ROM をコピーして保存し、ディスプレイ出力に使っていない GPU でテストする推奨事項が出されている。編集ツールの GitHub ページではクローズドソースバイナリと記載されている点にも留意が必要だ。

ラップトップ搭載の RTX 40 GPU はまだ編集できない。メモリタイミングはフラッシュチップから直接読み取られるため、今回のツールでは変更できない。自作ユーザーはデスクトップ向けカードを基準に電源容量と冷却性能を計算する必要がある。

ドライバー更新によるロック解除封じの経緯と今後の経路

コミュニティの反応は資料上確認されていない。技術的な注目点は、ドライバー更新によるロック解除機能の無効化だ。NVIDIA は 8 月に mVolt+ の RTX 50 電力上限解除をドライバー更新で封じた。今回公開された Windows ローダーは、その際に使用されたのと同じレジストリ値を書き込む。

Edited images keep NVIDIA's original signature, which no longer matches, so they can't be flashed with nvflash.

編集画像は NVIDIA の元の署名を保持する。署名が一致しなくなるため nvflash ではフラッシュできない。

編集画像は NVIDIA の元の署名を保持する。署名が一致しなくなるため nvflash ではフラッシュできない。パッチ済みツールで 2023 年の BIOS 署名ロックを突破した経緯はあるが、今回はフラッシュ処理を省略する方式だ。この仕組みが長期間維持されるかは不明である。

Laptop RTX 40 GPUs can't be edited yet, and memory timings can't be changed since the card reads them directly from the flash chip.

ラップトップ搭載の RTX 40 GPU はまだ編集できない。メモリタイミングはフラッシュチップから直接読み取られるため、今回のツールでは変更できない。

今後はドライバー更新で同様の経路が閉ざされる可能性が高い。編集とロードの両ローダーはオープンソースだが、編集ツール本体はバイナリ配布となっている。自作 PC 組立後にドライバを更新する際は、レジストリ値が上書きされないか確認する必要がある。

10 月 19 日公開のツールとラップトップ対応の予定

公開日は 2026 年 10 月 19 日である。開発者の Reddit 投稿と GitHub リポジトリを通じてツールが配布されている。Windows 環境ではドライバー 616.56 以降をインストールすれば即時利用可能だ。Linux 環境では Fedora 43 が実機テスト済みの唯一のディストリビューションである。写真では mVolt+ の RTX 50 電力上限解除がドライバー更新で無効化された例が示されている。

mVolt+ の RTX 50 電力上限解除がドライバー更新で無効化された例
mVolt+ の RTX 50 電力上限解除がドライバー更新で無効化された例(出典:TechPowerUp)

下の画像は mVolt+ の RTX 50 電力上限解除がドライバー更新で無効化された瞬間を示している。

今後は NVIDIA が今回のローダー経路も封じるかどうかが焦点だ。ラップトップ向け RTX 40 シリーズの編集対応や、メモリタイミングの変更可否が更新される予定である。開発元の Panchovix は GitHub 上で VBIOS Editor と VBIOS Loader Windows および Linux のリポジトリを公開している。

10 月 20 日時点で各ツールの動作検証は完了しており、自作 PC ユーザーは電源容量 700W 以上のモデルを想定して組立を進められる。

用語の注釈

VBIOS
グラフィックボードに搭載されたビデオ用基本ソフトウェアで、ハードウェアの初期化や動作制御を行う。(参考:Radeon GPUのVBIOSアップデート完全ガイド|安全な手順と実 ...)

出典