AMD Radeon RX 9070と9070 XTの性能比較と2026年10月時点の市場価格
25秒でわかる内容解説
2025年3月に発売されたRDNA 4アーキテクチャ搭載のRadeon RX 9070シリーズの再テスト結果が2026年10月に公開された。XTモデルは標準版よりストリームプロセッサと動作クロックを強化し、ゲーム性能で最大21%の差を示した。VRAMは両モデルとも16GBを標準搭載し、NVIDIA製競合品との価格差が明確になっている。自作PCのGPU選定において、どちらがコストパフォーマンスに優れるかを検証する。
円換算は1ドル=157.05円(2026年10月22日、欧州中央銀行の参考レート)による概算で、日本での販売価格とは異なる。
RDNA 4世代のGPU仕様とゲーム性能の差異
両モデルともNavi 48ダイを採用し、TSMCのN4Pプロセスで製造されている。メモリ仕様は共通で、16GBのGDDR6 VRAMを搭載し、256ビットのバス幅を持つ。これにより最大帯域幅は640GB/sに達する。VRAMは画像データやテクスチャを格納するGPU専用の高速メモリだ。
主な違いはコア数とクロックにある。9070 XTはストリームプロセッサが4,096個搭載され、9070の3,584個を512個上回る。AIコアも128個と112個の差がある。ブーストクロックは2,970MHzと標準版の2,520MHzより450MHz高い。これによりボードパワーは304Wと220Wで大きな差が生じる。
| 項目 | RX 9070 | RX 9070 XT |
|---|---|---|
| ストリームプロセッサ | 3,584 | 4,096 |
| ブーストクロック | 2,520MHz | 2,970MHz |
| ボードパワー | 220W | 304W |
| VRAM | 16GB | 16GB |
| 推奨電源 | 700W | 850W |
| 2026年10月価格 | 699ドル(約11万円) | 749ドル(約11万8,000円) |
テスト環境ではRyzen 9 9950X3DとMSI MEG X870E Ace Maxマザーボードを使用し、ボトルネックを排除した。Sapphire製のNitro+とPulseシリーズで比較した。3DMark Steel NomadではXTが7,291点を記録し、9070に対して21.4%高速化した。写真では3DMark Steel Nomadのラスタライズ性能比較グラフが示されている。
Both these GPUs offer a healthy 16GB of VRAM, giving them more room to breathe than Nvidia’s 12GB GeForce RTX 5070.
両GPUは16GBのVRAMを搭載しており、12GBのRTX 5070よりデータ格納の余裕がある。
ゲーム実測値でも差は明確だ。Cyberpunk 2077では20%、Final Fantasy XIV: Dawntrailでは18.6%の性能差が確認された。1440p解像度での高画質プレイに余裕がある一方、消費電力の増大を考慮し9070 XTには850W電源を推奨する。
テストでは最高画質設定とレイトレーシング有効、FSR無効で実施された。例外としてFFXIVはデフォルトでFSR有効、Cyberpunk 2077はウルトラレイトレーシングプリセットを採用している。
2026年10月時点の価格推移とNVIDIA競合との比較
発売当初はXTと標準版の価格差が50ドル(約7,850円)程度だったが、2026年10月時点では約100ドル(約1万5,700円)の差に拡大している。9070は699ドル(約11万円)、9070 XTは749ドル(約11万8,000円)で取引されている。XTモデルは標準版より約14%高い価格だが、計算ユニット数も14%増えている。
同時期にリリースされたNVIDIA RTX 5070は12GB VRAMを搭載し、2026年10月時点で829ドル(約13万円)まで価格が上昇した。RTX 5070 Tiは千ドルを超えるため、AMDの16GBモデルは価格競争力が相対的に高まっている。RAM不足によるインフレの影響で両社とも値上がりしているが、AMDは比較的手頃な価格帯を維持している。
Nvidia’s RTX 5070 demands a frankly silly price of £739 / $829, making it a non starter for a 12GB card.
RTX 5070は829ドルという高額になり、12GBメモリでは手が出しにくい状況だ。
実ゲームにおける1440p解像度の平均フレームレートも、XTが標準版を17%上回る結果を示した。Assassin's Creed Shadowsでは55fpsと47fpsの差があり、Forza Horizon 6でも60fpsを維持できるのはXTのみだ。写真ではAssassin's Creed ShadowsおよびForza Horizon 6のフレームレート比較が示されている。
消費電力の差も価格に影響する。9070 XTは最大304Wを消費し、システム全体の電源供給が700Wから850Wへ引き上げられる。700W電源で済む9070と比較すると、トータルコストの差はさらに縮まる。自作PCのパーツ選定では、GPU単体の価格だけでなく電源容量のアップグレードも視野に入れる必要がある。
Sapphire製カスタムモデルによるベンチマークと純正スペックの補正
テストで採用されたSapphire製カードは、純正のリファレンスデザインが存在しないため選ばれた。9070 XTには約90MHzのオーバークロックが適用され、ブーストクロックは3,060MHzに達している。これにより実際のテスト結果は純正スペックよりわずかに高い数値を示す可能性がある。
AI性能のベンチマークでは、Geekbenchで3.2%、Procyon Llama 3.1で12.3%の差が記録された。RT性能の3DMark Speed Wayでは10%の差にとどまるが、ラスタライズ処理を重視する3DMark Steel Nomadでは21.4%の差が開いた。
1%低フレームレート(1% lows)の安定性でも、XTは優位性を維持した。Final Fantasy XIV: Dawntrailでは1%低値が100fpsをキープするのに対し、9070は90fpsを下回る瞬間もあった。ただし、両カードともFSR 4によるアップスケーリングを有効にすれば、4K解像度でのプレイも可能になる。
テスト環境のSSDは4TBのSandisk Optimus GX Pro 8100、メモリは64GBのKingston Fury Renegade DDR5を搭載している。冷却にはArctic Liquid Freezer III 420 Pro ARGBが使用され、ケースはbe quiet. Light Base 900 FXだ。これらの高性能パーツにより、GPU本来の性能が最大限に引き出されている。
写真ではテストに使用されたbe quiet. Light Base 900 FXケースが写っている。
2026年10月時点の市場評価と自作PCへの適用
2025年3月の発売以降、市場環境は変化した。当初は価格差が小さくXTの購入判断が難しかったが、2026年10月時点では14%の価格差が性能差と一致している。NVIDIA製GPUの価格上昇により、AMDの16GB VRAMモデルは自作ユーザーにとって現実的な選択肢となっている。
1440p解像度でのゲーミングを主眼に置くなら、追加コアと高クロックを活かす9070 XTが最適だ。850W電源と冷却性能を確保できるケースを選べば、長期的な安定動作が期待できる。予算を重視し700W電源で収めたい場合は、9070でも高画質プレイに支障はない。
両モデルともにRDNA 4アーキテクチャの恩恵を受け、レイトレーシング性能もNVIDIA製と肩を並べるまで向上した。自作PCを構築する際、マザーボードのPCIeスロットとCPUの互換性を確認すれば、すぐに組み立て可能だ。テストではFSR 4のアップスケーリングを有効にすれば、4K解像度でも60fps前後のフレームレートが維持できる。2026年10月現在の価格動向を踏まえ、用途と電源容量に合わせて選定を決定する。
用語の注釈
- VRAM
- 画像データやテクスチャを格納するGPU専用の高速メモリ。ゲームや描画処理の解像度と品質を決定する主要な容量指標となる。(参考:VRAM(GPUメモリ)とは?不足時の症状や使用量の確認方法 ...)
出典
- AMD Radeon RX 9070 vs. 9070 XT(Club386)